資料集

労務Q&A

経営者、管理職なら知らなければならない労務のあれこれ。

Q.労働者を採用するとき、労働契約書を渡すべでしょうか?

A.労働基準法は、労働者を採用する場合、労働契約の締結のときに労働条件を明示しなければならないとしています(労働基準法第15条1項)。労働契約書の交付までを義務付けたものではなく明示すれば良いとしていますが、明示しなければならない事項と明示方法は定めています。最近は労働条件をめぐるトラブル(言った、言っていない、聞いた、聞いていない)が多発していますので、法律の遵法精神だけでなく労務管理第一歩として労働条件は必ず明示するようにして下さい。

1)絶対的明示事項(必ず明示しなければならないもの)
労働契約の期間
就業の場所及び従事すべき業務
始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換
賃金(退職手当、臨時の賃金除く)の決定、計算・支払の方法、賃金の締切・支払の時期
退職
昇給

2)相対的明示事項(就業規則に定めがある場合に明示しなければならないもの)
退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期
臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)賞与等並びに最低賃金額
労働者に負担させるべき賃金、作業用品
安全及び衛生
職業訓練
災害補償及び業務外の傷病扶助
表彰及び制裁
休職

絶対的明示事項から「昇給」を除いたものは書面で明示しなければなりません。相対的明示事項と「昇給」は口頭でもかまいません。
 


Q.パートタイマーには年次有給休暇はないのでしょうか?

A. 使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければなりません。(労働基準法第39条第1項)
これは正社員、パートタイマー、アルバイトを問いません。ただし、週所定労働時間が30時間未満で、かつ所定労働日数が週4日以下のパート、アルバイトについては、労働日数に応じて権利として発生する休暇日数が少なくすることができます(比例付与)。



Q.休憩時間は賃金支払の対象となるのでしょうか?

A.なりません。
休憩時間は労働時間には該当しないため賃金を支払う義務はありません。(労働基準法第32条)
ただし、休憩時間に電話番などで待機させているような場合、自由に休憩時間を利用できないため労働時間ということになり賃金の支払い義務が生じます。
       


Q.朝の掃除の時間は労働時間ではないの?

A. 労働時間とは、使用者の明示又は黙示によって、労働者が使用者の指揮監督下に置かれている状態の時間をいいます。
 この掃除が「指揮監督下」にあるかどうか、強制的になっているかというところがポイントになります。全員参加が強制されていたり、参加しないことが評価等でマイナス要素となるのであれば労働時間となり賃金の支払い義務が発生すると思われます。



Q.学生アルバイトには最低賃金は関係ないのでしょうか?

A.関係あります。
 都道府県別に定められている最低賃金はすべての労働者(パート・アルバイト・臨時の人も含め)に対し支払われなければいけません。
 特定産業(塗料製造業、鉄鋼業、非鉄金属業等、ボイラー・原動機業等、電気機械器具製造業、輸送用機械器具製造業、自動車小売業など)には別に最低賃金が決められており優先されます。
 一般の人と労働能力が違う人は労働局長の許可を得て適用除外とすることもできます。特定産業の最低賃金については、18歳未満または65歳以上の人は適用除外となります。