相続
亡くなられた方の遺志と相続人の意思、
そして法律の絡む「相続」を流れに沿い記しました。
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人が死亡すると、死亡の事実を知ったときから7日以内に市区町村に死亡届を提出しなれければなりません。その際、死亡診断書または死体検案書を添付します。これにより火葬や埋葬許可が出ます。 人が亡くなった瞬間から相続は発生することとなります。 ・死亡診断書−入院中に死亡したときなど ・死体検案書−事故死の場合などに検死にあたった医師が作成
1.葬式費用を誰が負担するのでしょう? 法律で誰が負担すべきかを定めたものはありません。学説や判例では、まず香典で賄い、不足分は相続財産の中から支払われるものとされています。また、相続財産から葬儀費用を出しても単純相続とはなりません。 相続税の計算においては、葬儀費用を相続財産から差し引いて計算ができます。ただし何でも差し引けるわけではなく、常識的に多額な葬儀費用は認められない可能性があります。また、相続財産から差し引けるのは、告別式までの費用です。四十九日や何回忌など法事等の費用は差し引きできません。 2.香典は相続財産? 香典は通常、相続財産に含める必要はありません。また、常識的な額であれば税金もかかりません。ただし、「香典返し」の費用は相続財産から差し引くことはできません。
遺言書をよく探しましょう。もし当初、遺言書を見つけられずに、相続手続が終わった頃に遺言書が出てきたりすると、手続をやり直す必要がでてきますのでよく探して下さい。 ただし、遺言書を見つけたからといって、勝手に開封してはいけません。公正証書遺言の場合を除いて家庭裁判所に提出し検認を受ける必要があります。これは、遺言の偽造、変造を防ぐために法律で定められた手続きであり、検認を行わず遺言を執行した者は5万円以下の過料に処せられます(民法1005条)。 手続は故人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることにより行います(手数料として600円)。
![]() 誰が相続財産を受け継ぐかは、遺言の内容に従います。 次の1、2の人も遺言書がある場合に限り相続できます。 1.内縁の配偶者 例え何十年も寝食をともにして、他に相続する人がいないとしても相続することはできません。 ただし、他に相続人がいない場合は、財産分与を家庭裁判所に申し立てることができます。 特別縁故者への分与制度といい、生前に特別に縁があった人が、分与を求めることができる制度です。 2.愛人の子 愛人の子など、婚姻していない人との間に生まれた子には、遺言がない場合、相続権はありません。 ただし、認知されれば相続権が発生します。 非嫡出子(婚姻外の子)の相続分は嫡出子(夫婦間に生まれた子)の1/2です。 ◆ 遺留分の侵害を確認 遺言書があれば遺言内容に従って遺産分割が行われます。ところが、遺言に従うと本来相続権を持つ人が不利益を被る場合がでてきます。例えば遺言で、全財産(住んでいる家)を相続権のない他人に譲るというであれば、本来相続権を持つ故人の配偶者や子は、住む家を失うということになりかねません。 そこで故人の配偶者と子供と父母・祖父母などの尊属には、法律で「遺留分」が認められています(兄弟姉妹にはありません)。 故人の遺言で自分には全く相続分がなかったとしても、請求により最低限の相続分が確保出来るということです(遺留分減殺請求)。 遺留分として確保できる割合は、原則法定相続分の1/2です。ただし、父母(祖父母等)のみが相続人である場合は1/3です。 遺留分は、請求をしてはじめて認められます。そして、請求は相続があったことを知ったときから1年以内(知らなかった場合は相続開始から10年)に行わなければなりません。この請求は、裁判で行う必要はありません。意思表示だけでいいのですが、後に残すため書面(内容証明郵便)で行うといいでしょう。 ![]() 相続人になれる人が民法という法律で決められています。この人々を法定相続人といいます。具体的には故人の配偶者、子(孫)、親(祖父母)、兄弟姉妹がそれにあたります。ただし、配偶者と子には常に相続権がありますが、親と兄弟姉妹には相続権が発生する場合としない場合があります。 相続人は必ず戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍等で確認する必要があります。 <一 例>
◆ 相続できない人 1.相続廃除 廃除とは、故人が相続人の相続権を奪い取り相続させないことをいいます。 故人は、自分に対してひどい仕打ちなどをした相続人や著しい非行がある相続人を排除することができます。故人本人が家庭裁判所に申し出て、審判や調停を受ける方法と遺言による方法があります。遺言でする場合は、遺言執行者が家庭裁判所に申し立てます。 ただし、廃除された人の子や孫が代わりに相続することはできます(代襲相続)。 2.相続欠格 故人を殺した人、詐欺や強迫によって遺言の作成や取消し、変更を妨げた人、遺言書を偽造、隠匿した人、故人が殺されたことを知りながら告訴や告発をしなかった人等、相続に関して違法行為を行った人は法律上相続権を剥奪されます。 ただし、欠格も代襲相続できます。また、欠格は全ての相続に関して欠格となる訳ではありません。 ある故人を殺した人はその故人に対する相続権を失いますが、他の人からの相続については失うことはありません。
相続財産の分割協議に入る前に、どんな相続財産が、どれくらいあるのか調べる必要があります。そして、調査し判明した遺産の種類、財産評価をリストアップします。 このとき故人にはプラスの財産ばかりでなく、マイナスの財産・つまり借金も忘れずリストアップします。 ◆ 借金も相続財産 プラスの財産と同じく遺産とみなされますので、原則的には、相続人は借金の返済をしていかなければならなくなります。
一口に相続財産といっても、プラスの財産ばかりではありません。借金も相続の対象となります。では、事業失敗や他人の借金の保証人になったばかりに多額の借金を抱えていた方がなくなった場合、その借金も必ず相続しなければならないのでしょうか?また、相続人間の揉め事や莫大な相続税が課せられる場合でも必ず相続しなければならないのでしょうか? 答えはNOです。家庭裁判所への「相続放棄」の申請を行うことができます。それにより借金や莫大な相続税の負担を回避することができるのです。また「限定承認」というやり方もあります。「相続放棄」はプラス・マイナスを含め一切の相続財産を受けることを放棄することになりますが、「限定承認」は残った財産の範囲内で負の財産を返済するということになります。 つまり限定承認をすると、相続して損をするという事がなくなります。ですので、借金がどのくらいあるのかよくわからないという場合は効果的です。「限定承認」をすると、マイナスが多い場合も借金を背負わなくてすみますし、プラスのほうが多ければそれを相続することができるからです。 申請期間は、「相続放棄・限定承認」ともに「自分が相続人となったことを知ったときから3ヶ月以内」です。3ヶ月経過後は、故人にいくら借金があったとしても自動的に相続人が負うことになります。 相続放棄は相続人個人で放棄することがきますが、限定承認は相続人全員で行わなければなりません。ですので、相続人間でも意思の統一が必要となります。もし、相続人の一人でも普通に相続してしまうと(単純相続)、限定承認はできなくなってしまいます。 例えば、相続人の1人が勝手に遺産を処分してしまうと、単純承認したとみなされます。すると相続人全員が限定承認できなくなってしまいますので注意が必要です。
遺言書がある場合には、相続財産をどのように分割するかは、遺言に従います。遺言書がない場合には、誰がどの財産をどれだけ相続するかを相続人間で話し合って決めなければなりません。これを「遺産分割協議」といいます。 遺産分割協議は、相続人が全員参加しなければなりません。 公平を担保する為、相続人全員の参加が必要です。相続人が1人でも不参加の協議は無効になります。方法としては、全員が一堂に会して協議するほか、相続人代表者が作成した原案を持ち回りにして同意を得たり、遠隔地の相続人と書面を通じて協議してもかまいません。 遺産分割協議の際、次の点を考慮することが出来ます。 1.特別受益分 相続人の特定の人が生前贈与や遺贈を受けた財産のことで、これらを相続財産に加算し計算します。 例えば、次男は結婚祝いに300万の車を買ってもらった場合は、これを相続分として考慮するということです。 2.寄与分 故人が生存中に、財産の維持・増加に特別寄与した相続人がいる場合に、その寄与分を先に協議して差引き、残りの財産を改めて分割協議するということです。 例えば長男が家業を手伝い父親である故人の財産形成に大きく寄与したという場合に、その寄与分を考慮するということです。 ![]() 民法が遺産相続の割合の基準として示しています。これを法定相続分といい、遺言がなく遺産分割協議をする場合に分配の目安として参考にすることができます。これは、あくまで目安ですので相続人全員合意で法定相続分と異なる分配をしたとしても問題ありません。 <一 例>
◆ 遺産の分割方法
![]() 遺産分割協議が成立したら、その結果を書面に記します。これを「遺産分割協議書」といいます。これがないと、遺産分割協議自体が成立しないというわけではありませんが、預貯金の名義変更や不動産の所有権移転をする際に必要となりますし、トラブル防止のためにも証拠として作成しておいて下さい。 1.書式・用紙は自由 署名以外は自筆・ワープロ作成を問いません。縦・横、文字サイズ、筆記用具、用紙の性質に決まりはありません。 2.預貯金の特定 預貯金名義人・口座種類・口座番号・残高により特定します。 3.不動産の表示 登記簿謄本の記載をそのまま転記します。 4.相続人全員の住所・署名押印 相続人の住所は住民票に記載されている住所を記載し、署名・押印(実印)します。遺産を相続しない人も署名押印しなければなりません。 5.契印 協議書が数枚になる場合、1枚目と2枚目、2枚目と3枚目の用紙と用紙のとじめに契印をする必要があります。 6.印紙 印紙の貼付は不要です。 7.作成部数・保管 遺産分割協議書は相続人数分作成して各自保管します。ただし、預貯金の名義変更、不動産の名義変更など手続きに必要になる場合がありますので多めに作成する方が良いでしょう。 ◆遺産分割協議が成立しないときは 相続人間で遺産分割協議がまとまらないときは、各相続人はその分割を家庭裁判所に請求することができます。また、寄与分に関する協議が不調なときは、寄与をした相続人が家庭裁判所に調停の申立・審判を求めることができます。 もし、相続税納付の必要がある相続で分割協議が長引き、10ヶ月以内の申告期限が迫っている場合、分割しない状態で申告納付手続きをする必要があります。
遺産分割協議が成立すれば、次に各財産の名義変更をする必要があります。この名義変更をしなければ、後にその財産を売却等するときにできませんので、必ず手続きしましょう。 <名義変更が必要な財産の一例>
<その他の必要な手続の一例>
◆ 手続期限の決まっているもの 相続手続において、遺産分割協議や名義変更は期限が決まっているものでありません。ただし、次の手続にはいつまでにしなければならないという期限が定まっています。期限が過ぎた場合は権利が消滅するものもありますので、注意が必要です。
所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その所得金額に対する税額を算出して翌年の2月16日から3月15日までの間に申告することになっています。 しかし、年の中途で死亡した人の場合は、相続人が、1月1日から死亡した日までの所得を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告しなければなりません。これを準確定申告といいます(故人の死亡当時の納税地の税務署に提出) 。 ◆ 準確定申告における所得控除の適用 1.医療費控除の対象となるのは、死亡の日までに支払った額です。 2.社会保険料、生命保険料、損害保険料控除の対象となるのは、死亡の日までに支払った額です。 3.配偶者控除や扶養控除に該当するかの判定は、死亡の日の現況により行います。
相続できるのは良いけど相続税がたくさんかかって大変と思ってる方が多いと思いますが、実は相続税が課税される人は、相続人全体の5%程度と言われるほど多くありません。 1.基礎控除 相続財産の合計額がこれに満たない場合、相続税はかかりません。基礎控除の額は、法定相続人の人数によって決まります。 基礎控除の額 3,000万円+(600万円×法定相続人の人数) 例えば、相続人が配偶者と、子1人の場合、基礎控除の額は4,200万円なので、相続財産が4,200万円以上なければ相続税は非課税となります。 * 法定相続人の人数には相続放棄をした人も含みます。 法定相続人のなかに養子がいる場合の法定相続人の数には、 1.故人に実子がいる場合は、養子のうち1人まで 2.故人に実子がいない場合は、養子のうち2人まで、を含めます。 算入できる養子の数に制限があるのは、亡くなる直前に養子を無限に増やしていくことにより、相続税を無限に控除できてしまうことを防ぐためです。配偶者の連れ子を養子にした場合や特別養子は制限無く算入することができます。 また、この制限はあくまで、相続税計算上のことであり、養子が何人いようとも全員に相続する権利に変わりはありません。 2.配偶者に対する相続税額の軽減 配偶者に納めるべき相続税がある場合、配偶者が相続した遺産のうち法定相続分額(1億6,000万円に満たない場合には1億6,000万円)までの遺産に対する相続税額については、相続税の納付が免除されます。配偶者が取得した相続財産については相続税非課税の場合が多くなります。 相続税を納付する必要がある場合、相続人は相続のあったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告・納税の必要があります。 ◆ 死亡保険金について 故人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部又は一部を故人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。 この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まない)である場合、すべての相続人が受け取った保険金の合計額が次の算式によって計算した金額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。 500万円×法定相続人の数=非課税限度額 * 法定相続人の人数には相続放棄をした人も含みます。 法定相続人のなかに養子がいる場合の法定相続人の数には、 1.故人に実子がいる場合は、養子のうち1人まで 2.故人に実子がいない場合は、養子のうち2人まで、を含めます。 なお、この非課税の規定は相続人以外の人が取得した死亡保険金には適用がありません。 |